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  • 執筆者の写真kachirou kano

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タイトル:グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉

発行:早川書房

著者:飛 浩隆

内容:少しさびれた田舎のリゾート地で過ごす夏休み、という設定のバーチャル空間(おそらくオープンワールドでかなり自由度が高い)を舞台とした冒険物語。本来現実世界からのゲストを迎え、舞台に住んでいるAIたちがゲストをもてなす目的で存在する世界に「大途絶」以来、ゲストが来なくなってしまった。サザエさん空間に住むAIたちは、終わらない夏休みを過ごし続けている…世界への侵略者が現れ、AI達が協力して侵略者と戦う話…と思いきや、ことはそう単純ではなかった。

所要時間:1週間程度(かなり途切れている)

感想:今回初めてSF作品を読んだ。そのきっかけはTwitterでフォロワーが教えてくれたスマホゲームであったが、ゲームもSFも自分の趣味の対象外にあるジャンルであったので大変好奇心が沸いた。ちょろっと読める物かと思いきや、届いた本の厚みを見て驚愕。ただ読み始めてすぐに、表現の虜となった。本作の表現はとにかく官能的で、グロテスクで、エロい!本文は文字だけで挿絵が無いことが、なまじ数枚の絵があるよりも表現に幅を与えている。人間の顔や風景が実際に描画されるとそれ以上でもそれ以下でもなくなってしまうが、文字による表現はそのような制約を受けない。文字しかないという意味で様々な光景は直接見ることができない状態だが、頭の中で文章から場面を想像することで「見える」以上の興奮や恐怖を覚える。今までフィクションは殆ど読まないで生きてきたが、想像力を使って文章を読むという画期的体験をすることができ、大変満足した。本文量が多く読了にかなり時間を要したが、次の1冊はきっと、より早く読めるだろうと感じた。転機を与えてくれたI氏に感謝を。

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