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執筆者の写真: kachirou kanokachirou kano

ピーターの法則 「階層社会学」が暴く会社に無能があふれる理由

ダイヤモンド社

ローレンス・J・ピーター/レイモンド・ハル 著

渡辺伸也 訳


 SNSで流れてきたときに階層社会学という単語が目に入り、衝動買いした1冊。仕事の合間にチラチラ読み進めた。読むのにかかった時間はあわせて2,3時間程度?細切れに読んだのは、後から考えればよくなかったのかもしれない…

 本著の要点を簡潔に言うと、「人は昇進により各自の能力を十分に発揮できない階層に到達して『無能』となる」ということである。詳しくはどのように無能になるのか、無能の種類やそのふるまいについて多様な例を挙げて説明しているが、上記の1点さえ理解できれば十分である。本著には「ピーターの●●」という造語あるいは新概念が次々登場し、それらは時として、現在読んでいるページよりも後ろで説明される。なので少しずつ読み進めていると、内容を理解するのが難しくなる。結局は上記の要点にまとめられるので理解せずとも読み進めることはできるが、判りづらかったら2周読むのが良いかもしれない。

 実生活に影響しそうな情報は、14章の「創造的無能」にある。この章は中々面白かった。創造的無能とは、自分が無能になる階層(昇進しつくすポイント)を理解していて、そこまで到達して真の無能にならないように、低い階層から昇進しないよう無能であるかのようにふるまう人間のことである。無能ムーブをする方法がいくつか紹介されているが、大事なのは他人からも無能だと思われることで昇進の対象外となり、「昇進を打診されても断る」という気まずいやりとり・社会的悪評の原因が発生しないことである。根っからの無能で何もできない人間は仕方ないが、多少なり能力があれば自ら創造的無能になることによって、ほどほどに楽しく無理のない生活を送ることができるだろう。これについては実生活での実践を含めて、さらに考えてみようと思った。

 現代日本だとキャリアの早期構築願望が強く、ちょっと息詰まると転職して次の環境へ、という選択をする人がふえているそうだ。ピーターの法則にのっとれば、そういう行動をとると自分なりの無能レベルに到達する前に他の組織の階層に移動するため、根っからの無能でない限り、見た目上(あるいは自己認知においても)無能ではないふるまいを取り続けることになる。自分がどの階層で無能に至るのかを知ることで、そのちょっと下の階層で創造的無能ライフを楽しむのがちょうどよさそうであるが、いつまでも無能ではない階層に留まるというのは辛い選択に思われる。そうなると直ぐに会社を辞めず、自分がどの程度で無能になるのかを見極めた方がいいのかもしれない。石の上にも三年というが、三年の間に自分の無能を見極めて、そのあとの戦略を練るというのが現代のキャリア構築に重要だろう、たぶん。これは「ピーターの石」とでも呼ぶべき概念だろうか?

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