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  • 執筆者の写真kachirou kano

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愛と子宮に花束を ~夜のオネエサンの母娘論~


出版社 幻冬舎 (2017/5/25)

著者 鈴木涼美


 なにかのネット動画をみて購入。ABEMA TVの切り抜きだったか、著者が出演している動画だったはず。話している様子は実に落ち着いていて、知性を感じさせた。その様子は大学や予備校で見かけた、高学歴な女性たちを思い出させた。言語化が難しいが、話し方に共通する音を感じた。それでいてなんとなく興味が湧いて著書を購入。

 内容は生活について書いたエッセイで、順序があるようで、とりとめがない。同じようなトーンの話が延々と続くためキリがないと感じられたが、筆者の知性と編集がこれをカバーして割と面白い読み物になっている。普段順序がある内容の本を読むことが多いため、途中で飽きて読むのを辞めてしまったが、何度か詰まりながらも最後まで読めた。

 こういう内容の本を要約するのはナンセンスだが、要は人生に大きな悲劇も喜劇もない、という事であった。そういったある意味劇的でない人生でも、それなりに悩み考えているのよ、と。途中に出てきた生活が安定し豊かだからこそ、うかつに悪態を付けない人が居るという視点は面白い。副題になっている実母との関係に関する話は、母からの愛が祝福と同時に呪いとなる様子を描いており、興味深かった。全体的に物事に関する評価が妙に冷静で客観的であり、なんとも女性らしい文章や感性とキレのある客観性が同居する独特なテイストのエッセイであった。

 前に読んだイスラムの本もそうだが、実生活で触れ合うことのない世界の話は面白い。深い意味はなく買ってしまったが、後悔は無かった。

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