kachirou kano

2019年11月2日9 分

Momoiro_Underground_comment

ももいろアンダーグラウンド リトライ無しで全プレイ完走

1ルート目:Sルート 2017年5月24日

 …2~20ルート目:U,A,C,D,J,K,E,N,B,F,G,H,I,L,M,O,P,Q,Rの順

21ルート目:Tルート 2019年11月2日

 「ももいろアンダーグラウンド」という横スクロールシューティングゲームについて、上記の通り「リトライ無しでクリアする」というルールのもと全ルートを完走しました。全ルートの録画と、配信でやったルートのアーカイブスは下記プレイリストに入っています。

・ももいろアンダーグラウンド(Momoiro Undergroud) playlist

https://www.youtube.com/playlist?list=PLaSjlZN6xWOHe3nkKgrftupNh3IyPw8QA

・配信録画(Youtube live以外のサイト)

https://www.youtube.com/playlist?list=PLaSjlZN6xWOFMGy-x2z-lmEKEFo6NzcZV

 発売当初はかなり苦戦しましたが、慣れるにつれ大分気楽に取り組めるようになりました。プレイ録画だけでなくRTA実況動画を制作することもでき、また英語でゲーム配信をして海外のプレーヤーと交流するなど自分としてはこのゲームを満足するまで遊ぶことができました。一通り遊んだ感想を、作品の概略と共に下記に記しました。お暇があれば見ていってください。

①多彩なステージの組み合わせ

 ステージは全部で20個。City、Ocean、Forest、Mountain、Towerの大ステージ5個のそれぞれに小ステージ4個が含まれます。前4者の小ステージを2個ずつ、合計8個巡ったのち、Towerの4ステージを順番に巡って、合計12個のステージを通ります。順当に考えると「各大ステージ4個について、その小ステージ4個から2個を選んで順に並べ、大ステージ4個を任意の順番で周回する」となり、その組み合わせは12の4乗あるのでとんでもない数になってしまいます。しかしももいろアンダーグラウンドでは、下図の通りAからUの21通り(Uルートはステージ選択がランダムのため、周回順が決まっているのは20通り)にルートが限定されています。

すなわち総当たりで、網羅的に全ステージを周回するわけではなく、あらかじめ設定された組み合わせのルートを周回するということです。それらの20ルートの中には、雑魚敵が強いものに置き換えられた強化ステージを含むものがあります(図の黄色い数字で示したところ)。わずか(すべての順列パターンに比して少ないということ)20のルートでも「似たような構成」のルートは無く、飽きることなく周回することができました。困ったらランダムでステージを選択してくれる、21番目のUルートがあるので役立ちます。

②無限の攻撃パターン

 自機のショットは前後・上下の4方向に向かって撃ち出すことができます。下方向ショットは真下に落ちるだけですが、他の3方向は自機の移動方向により、ショットを傾けることができます。例えば上方向のショットは、前後方向の移動に従って大きく前後に傾きます。前進しながら撃ち出すと殆ど前方に、後退しながら撃ち出すと同じく後方に傾くのです。実際のところゲーム内では真上を撃つためというより、前後方向の火力を補うために使いました(下図参照)。

 そんな具合に、前・後方向のショットも異なる方向の火力を補えるので、あらゆる方向から攻めてくる敵に対して、非常に多彩な攻撃パターンが考えられます。地形や敵の密度、ボスの動き方によって自機の動きが制限されるステージが結構あるので、その場に応じて臨機応変に考え、4方向のショットを協力して動かすのは大変に気持ちが良いです。最初はそれが一番大変だったのですが、今や一番楽しいポイントになっています。

③画期的なショッピング・ランクシステム

 ユキショウヘイ氏(Twitter@hey1230)のゲーム(前作MECHA Ritzシリーズを含む)では、ランクによる難易度管理が大変に絶妙で、調子に乗ってランクを上げると適度に難しくなり、大変な目にあってランクが下がると、これまた適度に簡単になるようにできています。前作では弾幕の速度や密度で難易度が調整されており、その点は今回も同様ですが、今作ではランクに影響する要素が「自機の強化」となっています。オーキニ(アイテム売り場)を呼び出すたびにランクが5上昇、何かを購入するたびにランクが5上昇していきます。そもそもオーキニを呼ばなければランクが上がることはありませんが、自機が弱いままなのでステージの攻略に難渋します。しかしどんどん呼び出して買い物をしているとあっと言う間に鬼畜弾幕が押し寄せてしまう…自分にとってちょうどいいランク上昇の程度というのを、何度も何ルートもプレイしながら探していくことに大きなやりがいを感じました。僕個人にとっては、リトライ無しでクリアするにあたってはランク200くらいでラスボスに到達するのが丁度良いようでした。リトライ有りならば、もっと高いランクで進行できます。

④リトライ無しというルールの緊張感

 本作のゲームシステムは「ミス」に対して大変寛容です。30回くらいミスしても許されます。自機のライフ(最大8)が尽きると「リトライ」となり、ステージの最初からやり直しです。4回リトライしてライフが尽きるとゲームオーバーとなります。ミスなしで進行していくとランクが上がり続けるのです。後半ステージの高ランク状態で迎える弾幕を考えると、ミスなしでクリアまでたどり着くのは人間には不可能かと思われます。しかし少しゲームに慣れた頃から、リトライを許す条件では今一つ張り合いが有りませんでした。なのでリトライを封じ、初期ライフ3からなんとかやりくりしてクリアまでたどり着くという目標を立てました。ライフゲージを拡張することに始まり、あまりランクを上げすぎないように、時にはわざと被弾してランクをさげつつ、しかし必要な武器は購入していくというスタイルで挑戦しました。毎回同じようには進行しないため、先ほどの攻撃パターンの話に同じく、かなり臨機応変にライフやランクを管理しなければなりませんでした。これが自分にとってはゲーム攻略の上で大きな楽しみ、やりがいとなりました。残りライフが1や2になると「ライフを全回復する」というアイテムが欲しくなりますが、オーキニが持ってきてくれるかは運次第です。ツいてないときはケチに1個ずつライフを回復しつつひたすら忍耐し、ツいているときは有難くアイテムを買う。よほど運が悪いと後半ステージに到達せずゲームオーバー(リトライしてしまう)ということがありました。出来ることを精一杯頑張って、しかし肝心どころは運否天賦というスリル、緊張感を持ってゲームをやれたのは本当に楽しかったです。

⑤きたる新作と展望

 ユキショウヘイ氏が今作のプログラムを活用し制作中の「DEZATOPIA(デザトピア)」が2019年内に発表予定です。今のところほとんど中身の情報がないので具体的なことは判りませんが、何となくステージ構成や敵配置は大きく変更されないのではないかと予想しています(現行で大きな問題がないため)。しかし幾つかの追加要素、チャレンジ要素が追加されるとのことで、それらの攻略を大変楽しみにしています。「ももいろアンダーグラウンド」に対する自分の挑戦は「ノーリトライ」という形でしたが、DEZATOPIAに対してはまた新しい挑戦の形が生まれるでしょう。その時を心待ちにしています。

 時に海外勢からの情報によればももいろアンダーグラウンドは購入に際して手続きが難しく(AKIBA HOBBYに英語の販売ページはあるのだが、購入にあたり結局日本語表記のページに飛ぶらしい)、まず購入の時点でハードルが高いという愚痴を数人から聞きました。DEZATOPIAはNintendo Switch、Steamといった英語のプラットフォームで発売され、また公式HP(https://www.hanaji.com/dezatopia)によればゲーム内の言語も英語が選択可能になるようです。ももいろアンダーグラウンドは公式から海外販売やダウンロード販売、Steam移植はしないと明示されていただけに、海外勢にとってDEZATOPIAのリリースは喜ばしいニュースであろうと思います。

⑥実は愉快なストーリー

 ゲーム中ではボス達はボス戦でグラフィックがちらっと出るだけで、個々のストーリーについてはそれほど多くを語られません。しかし付録の「公式設定資料集」のキャラクター紹介や漫画を読むと情報は一気に増加します。この世界観で4~5巻くらいの漫画が出せそうなくらい、はっきりと区別できる背景を持ったキャラクターが沢山存在します。アンダーグラウンドの愉快な化けモン達は、タマイタ氏(Twitter@syuwatto)によってデザインされています。最近同氏のTwitterをフォローし、時折キャラクターのイラストが投下されるのを楽しみにしています。DEZATOPIAではキャラクター達のストーリーがより多く語られることを期待しています。

⑦ももいろアンダーグラウンドとDEZATOPIA、さらにM'sアートの話

 DEZATOPIAの発表にあたっては、もグラ制作陣内での対立構造が明るみに出たことで、作品の対外的印象は良くない状況から始まりました。しかし発売まで数か月かかっていることで、ホトボリが冷めたと考えれば今や悪い状況ではないと言えるのではないでしょうか(しらんけど…)。M'sアートはももいろアンダーグラウンドの公式アカウントを名称変更し、M'sアート全体の公式アカウントとして以後使用していくように見受けられます。つまりももいろアンダーグラウンドの個別垢はなくなってしまったということになります。

 今ももいろアンダーグラウンドの少し後にM'sアートから出た「ホーギーヒュー」を合わせて考えると、M'sアートにとってこれらの作品(のシューティングゲームという側面)は古川氏の音楽のオマケだったのではないかと考えます。ホーギーヒューは、なるほどオールドライクでキュートなシューティングゲームで魅力はあるのですが、キーコンフィグすらなく2018年に3000円で発売するゲームとは思えない出来です。半額以下で、ずっと優れたシステムデザインのゲームを購入することができます。それでもM'sアートが自信をもってこのゲームをプロモートしたのは、本体がゲームではなくゲームサウンドだったからなのではないでしょうか。ゲームサウンドが2500円で、500円分のシューティングゲームが付いてくると考えれば、価格はむしろ安い気すらしてきます。僕はももいろアンダーグラウンドもホーギーヒューも本体はシューティングゲームの方だと勝手に思っていましたが、ホーギーヒューを通じて、僕自身が制作側の意図を理解できていなかっただけではないかと思うようになりました。

 DEZATOPIAはM'sアートではなくHanaji gamesからリリースされる、ももいろアンダーグラウンドとは全くルーツを別にするゲームです。古川氏のサウンドは除かれ、全く新しい音源が使用されるとのことです。元を正せば僕はユキショウヘイ氏を応援するためももいろアンダーグラウンドのクラウドファンディングに参加し、こんにちに至るまで氏が作成したゲームについて様々な発信をしてきました。ですからDEZATOPIAが生まれることは、僕にとって喜ばしいことです。M'sアートと氏が離別し、ももいろアンダーグラウンド(のシューティングゲームの部分)が今後おそらく更新されないもの、過去のものとなっていくのは寂しいことですが、済んだことにこだわらず、気分新たにDEZATOPIAを支援していきたいと思っています。

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