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  • 執筆者の写真kachirou kano

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禍いの科学 正義が愚行に変わるとき

ナショナル・ジオグラフィック社

ポール・A・オフィット著


Twitterで見かけてポチったものの、長らく積まれていた一冊。鮮やかなライトグリーンの装丁が目に優しい。

毎章末にある説教パートが少しくどいが、全体としては読みやすい良質なサイエンス・ノンフィクション。本来優秀で才能ある科学者たちでさえ、正しいと信じながら科学的に誤った選択を推し進めてしまうことがある。これは何も科学者個人に限ったことではなく、学校や研究所といった施設、学会からひいては国家といった大規模な集団でも起こりうる。間違いを起こさない個人も組織はどこにも存在しえないので、結局科学に関係するすべての人が批判的思考・論理的思考でもって「正しい」と思われる科学的主張を検討するしかないのだろう。最近だと完全に正しいとして進められたコロナワクチンの接種とか。さすがに反ワクチン派が主張するようなようなオカルト論理が科学的でないことは判るが、ワクチン接種の効果と副作用、かかったコストに対して妥当なアウトカムが得られたのかという評価は、当然に行わわねばならばい。何に関してもそういう検討を重ねて自省しつづけなさい、という教訓的示唆に富んだ本だった。

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